問題集は何周すればいいのか――「最低3周」は正しいのか

問題集について、

「最低3周しろ」
「同じ問題集を何度も繰り返せ」

と言われることがあります。

別に間違ってはいません。

でも私は、

「とりあえず3周すればいい」という考え方はかなり雑だと思っています。

目次

本来、全問題を同じ回数やる必要はない

例えば、一回目で完全に理解して、その後も普通に解ける問題があります。

それをわざわざ2周目、3周目でも毎回解く必要があるでしょうか。

逆に、3回やってもまだできない問題なら、4回目が必要かもしれません。

つまり本来、

必要な復習回数は問題ごとに違います。

前回の記事で、間違えたときには「何ができなかったのか」を整理することが大切だと書きました。

それができるのであれば、

「この問題はもう大丈夫」
「これはまだ怪しい」
「これはもう一度やる」

と選べばいい。

その方が効率的です。

だから私自身は、「何周したか」という数字にはあまり興味がありません。

でも、高校生が全員それをできるわけではない

ただし、これは理想論でもあります。

自分がどこまで理解しているのか。どこがまだ怪しいのか。どの問題をもう一度やるべきなのか。

それを毎回正確に判断するのは、意外と難しい。

特に高校生は、まだそこまで自分自身を正確に見られないことがあります。

「分かったつもり」になっている。本当は復習が必要なのに、「もう大丈夫」と判断してしまう。そもそも、何が分かっていないのか自分でも分かっていない。

これは普通にあります。

横浜翠嵐高校で「4プロセスを5周」と聞いた

今から8年ほど前に横浜翠嵐高校へ学校見学に行ったことがあります。

横浜翠嵐は、神奈川県トップクラスの公立進学校です。

もともと入ってくる生徒の学力がかなり高く、大学進学への意識も非常に強い学校です。

そんな学校で数学について話を聞いたとき、

「4プロセスを5周させています」

と言われました。

5周です。

4プロセスは数研出版の問題集で、4STEPよりも一段基本寄りの教材です。

正直、

「このレベルの生徒に、4プロセスを5周もやらせるのか」

と思いました。

ちなみにこれは約8年前に私が実際に学校見学で聞いた話なので、現在の翠嵐高校が何を使っているのかは知りません。

ただ、この話は今考えるとかなり面白いと思っています。

できる生徒にまで、なぜ5周させるのか

翠嵐に入るような生徒なら、

「できない問題だけ自分で選んでやればいいじゃん」

と思うかもしれません。

もちろん、それができる生徒もいるでしょう。

でも、それだけ学力の高い生徒を集めても、学校側は当時「5周」という仕組みを用意していた。

つまり、

学力が高いことと、自分の学習を完璧に管理できることは別です。

できる生徒の中には、前回書いたような復習を無意識にやっている人もいます。

間違えた問題が気になる。後からもう一度思い出す。何ができなかったのかを勝手に考えている。

でも、それを全員ができるわけではない。

ならば、

「5周させる」という外側の仕組みで補ってしまう。

そう考えると、かなり合理的です。

周回は、未熟さを補う仕組みでもある

だから私は、

「問題集を3周すれば成績が上がる」

とは思っていません。

3周したのに、毎回同じところを同じように間違えているなら意味がありません。

でも一方で、

「何周なんて意味がない。必要なところだけ復習すればいい」

とも言いません。

それが自分でできないから困っている生徒もいるからです。

自分で適切に復習できるなら、必要な問題だけやればいい。まだそれが難しいなら、3周でも5周でも、仕組みとして何度も触れる。

それでいいと思います。

周回数そのものに意味があるのではありません。

周回することで、

「本当はまだできていなかった問題」に、もう一度触れる機会を強制的に作る。

そこに意味があります。

問題集を何周すればいいのか。

私の答えは、

自分で必要な復習を選べるなら、周回数はどうでもいい。

です。

でも、それがまだできないのであれば、

何周という形で自分を縛るのも、立派な勉強法です。

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この記事を書いた人

開成中学・高校を経て東京大学へ進学。現在は高校教員として数学・物理を中心に教え、進路指導も担当。

指導の中心は偏差値50前後の生徒ですが、これまで偏差値30程度から70程度まで、幅広い学力層の生徒を指導してきました。通常の授業に加え、希望者向けの応用授業も担当しています。

大切にしているのは、生徒個人に合った勉強法や教材を考えることです。

※このブログは所属先とは関係のない個人ブログです。

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