偏差値40から東大へ――13冊の参考書で作る「低い階段」

今日は学校で、

「偏差値40くらいから東京大学を目指すなら、数学の参考書をどう選ぶのか」

という話をしました。(※主目的は別で、脱線です。実際に目指す生徒はほぼ居ません)

その講演をするために、PowerPointを一から作りました。

偏差値40くらいのところから始めて、どの段階で何をやるのか。どこまでできたら次に進むのか。最終的に東大の問題を解けるところまで持っていくなら、どんな順番になるのか。

一つずつ考えて並べていったのですが、最終的に参考書は13種類になりました。

正確には「13冊」ではありません。

ⅠA・ⅡB・ⅢCに分かれているものでも、同じシリーズなら一つとして数えています。

実際の冊数が何冊になるのかは、もう数えたくありません。

ただ、ここから先は面倒なので、便宜上13冊と書きます。

全部並べてみて自分でも面白かったのが、

13冊も使うのに、特別難しい問題を大量に解かせるような構成にはなっていない

ということでした。

目次

とにかく階段を細かくしている

改めて作ってみて思ったのですが、私はかなりスモールステップを重視しています。

一冊の問題集に、

基礎も。
標準も。
応用も。
難関大対策も。

全部やってもらおうとは、あまり考えていません。

それより、

これができた。
じゃあ次。
これもできた。
じゃあもう一段。

という感じで、階段を細かくします。

だから結果として冊数は増えます。

ただし、一冊一冊に何か月もかける必要はありません。

その段階で身につけてほしいものが身についたなら、次へ行けばいい。

一冊を重くするのではなく、低い階段を何段も登っていく。

今回13冊になったのも、結局はその結果です。

ブログで紹介した2冊と、今回の13冊はそもそも違う

以前、このブログで数学の基礎について書いたときには、

NEW ACTION FRONTIER

と、

入門問題精講

を紹介しました。

その記事では、

無料の記事なので、無難な有名どころを紹介する

という趣旨のことも書いています。

今回、偏差値40付近から東大までのルートを一から組んでみたら、13冊になりました。

ちなみに、この13冊の中には入門問題精講も入っています。

NEW ACTION FRONTIERは入っていません。

別に以前と言っていることが変わったわけではありません。

前の記事は、

数学の基礎を作るなら、広く勧めやすい教材として何を挙げるか

という話でした。

今回は、

偏差値40付近の生徒を、本当に東大まで持っていくとしたら、自分なら何をどういう順番で使わせるか

という話です。

そこまで考えれば、当然もっと細かくなります。

では、

「残り12冊は何なのか」

という話になると思いますが、そこは今回は書きません。

今回の13冊は、実際の指導経験を踏まえて、どの段階で何を入れるかまで一から組み直した講演内容です。

さすがに、その部分まで全部ブログに載せるのはやめておきます。

そこは情報料というものがあります。

「先生の紹介する本、誰もやってなくないですか?」

今回PowerPointを作りながら、昔ある生徒に言われたことを思い出しました。

私が参考書をいくつか紹介したところ、

「先生の紹介する本、ネットで見てもほとんど紹介されていなくて不安になるんですけど。本当に誰もやってない本をやってていいんですか?」

と言われました。

まあ、気持ちは分かります。

ネットで参考書ルートを検索すると、だいたい同じような本が出てきます。

周りも使っている。塾でも紹介される。

そんな中で、自分だけあまり名前を聞かない本を使っていたら、不安になるのも当然です。

そこで聞きました。

「ほう。じゃあ君が想定している本はどれだ」

「えっと、例えばプラチカ」

「プラチカに相当するのはこの本だ」

「じゃあ、1対1対応の演習は?」

「それに相当するのはこの本だ」

という話になりました。

別に、定番の参考書を知らないわけではありません。

プラチカも1対1対応の演習も、良い本だと思います。

ただ私は、

「定番だから使う」

という決め方をあまりしません。

まず、

「この段階で何を身につけたいのか」

を考える。

その役割に合うと思った本を置く。

その結果、世間でよく見る参考書ルートとは違うものになるだけです。

必要な段階そのものは変わりません。

基礎を作る。
典型問題を身につける。
それを使えるようにする。
思考力を鍛える。
応用する。
東大の問題につなげる。

違うのは、その段階にどの本を置いているかです。

Amazon評価3.4だった参考書

今回の13冊の中に、後半のかなり重要な位置に置いている参考書があります。

基礎や標準的な内容を一通り身につけたあと、

思考力や応用力を鍛えるために使う本

という位置づけです。

この本、以前Amazonを見たときは、評価が3.4くらいでした。

結構低いです。

レビューを見ると、

「網羅性が低い」

という評価がありました。

確かに、網羅性は低いです。

でも私は、この本にそもそも網羅性を求めていません。

典型問題を広く身につけることは、それ以前の参考書ですでにやっています。

この本に求めているのは、今まで身につけた知識をどう使うのか。複数の考え方をどう組み合わせるのか。見慣れない問題にどう向き合うのか。

そういう、

思考力や応用力を鍛えること

です。

だから、

「網羅性が低い」

というレビュー自体はその通りだと思います。

ただ、私にとっては欠点ではない。

そして今回、久しぶりにAmazonを見てみたら、

評価が4を超えていました。

ちゃんと評価されていました。

ちょっと笑いました。

紹介した生徒からは、全員かなり評価が高い

この本は、これまで何人かの生徒に紹介しています。

そして、紹介した生徒からの評価はかなり高いです。

みんな、

「これ、神書ですね」

くらいの反応をします。

その中の一人からは、受験が終わったあと、

「先生がこの参考書を紹介してくれていなかったら、自分は東大に絶対受かっていません」

とまで言われました。

もちろん、この本をやれば東大に受かる、という話ではありません。

誰にでも合うとも思いません。

ただ、その生徒には必要だった。

その時点で足りなかったものと、その本が鍛えてくれるものがちょうど合っていたんだと思います。

Amazonでは、

「網羅性が低い」

という特徴を欠点として見る人がいる。

一方で、ある生徒にとっては、

「これがなければ受からなかった」

という一冊になる。

どちらが間違っているという話でもありません。

その本に何を求めているかが違うだけです。

参考書選びって、こういうところが面白いと思います。

偏差値40から東大なら、やっぱり2年は必要

では、この13冊をどれくらいの期間で進めるのか。

私なら、

2年は必要だと考えます。

最初の頃に書いた記事では3年と書いていたように、偏差値40くらいの状態から東大を本気で目指すなら、正しいルートで勉強してもやはりそれくらいは必要です。

もちろん、人によって進む速度は違います。

ただ、

基礎を作る。
標準問題を解けるようにする。
典型問題を身につける。
それを自分で使えるようにする。
さらに思考力や応用力を鍛える。
最後に東大の問題へつなげる。

ここまで全部積み上げるなら、数か月でどうにかするような話ではありません。

だからといって、

「時間がないから早く難しい問題集に行こう」

とすると、むしろ余計に時間がかかることがあります。

偏差値40から始めるなら、なおさらです。

難しい問題を早く始めることより、2年間かけて低い階段を一段ずつ登る。

私はそっちの方が、結局は速いと思っています。

13冊になった理由は、難しくしたからではない

今回、偏差値40から東大までのルートを一から作ってみて、自分の指導の癖がかなりはっきり見えました。

一冊ですべて解決しようとはしない。

一気にレベルを上げようともしない。

その段階で必要な能力を考えて、それぞれの参考書に役割を持たせる。

そうしたら13冊になりました。

正確にはもっと多いのですが、そこはもう数えないことにします。

13冊という数字だけ見ても、多く感じると思います。

でも、私がやっていたのは、

難しい本をたくさん並べることではなく、階段をできるだけ低くすること

でした。

改めて一から作ってみると、私は参考書そのものより、

「次の一段をどれくらいの高さにするか」

をかなり見ているんだなと気づきます。

自分で作っておいてなんですが、なかなか面白いルートになったと思います。

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この記事を書いた人

開成中学・高校を経て東京大学へ進学。現在は高校教員として数学・物理を中心に教え、進路指導も担当。

指導の中心は偏差値50前後の生徒ですが、これまで偏差値30程度から70程度まで、幅広い学力層の生徒を指導してきました。通常の授業に加え、希望者向けの応用授業も担当しています。

大切にしているのは、生徒個人に合った勉強法や教材を考えることです。

※このブログは所属先とは関係のない個人ブログです。

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